文明多様性協会は多様な森林形成を目指します。
周辺文明の森林
日本はその国土の形成以来、温暖湿潤な気候に恵まれ、自然林を発展、更新してきました。
温暖湿潤な気候を支えててきた環境の一つに山林があります。地殻変動、山脈形成、降雨の循環、山河と平地の形成を地球の循環システムの中で繰り返しています。
日本では鎮守の森に代表されるような、広葉樹の森が自然林として広がっていました。
※1参考文献:宮脇方式の森を発展させる会編「九千年の森をつくろう! : 日本から世界へ」藤原書店2022.4
神の宿る木を敬いつつも、里山からのめぐみを享受し、樹木の再生を繰り返しながら持続的に森林環境を維持する社会システムが構築されていたと考えられます。
中心文明による影響
中心文明の影響下では杉などの針葉樹を植林し経済林を形成する政策が推進されてきました。
整然と植林され、効率的に建築材などを伐採することが企図されました。
適度な間伐を施しつつ30年から50年周期で皆伐を繰り返し、林業による産業振興が企図されました。
しかし、針葉樹単一植林、皆伐を繰り返すことは、自然林が本来持つ様々な機能を犠牲にします。
商業的木材生産機能のみを追求すると、生物多様性保全機能、水土保全機能が損なわれてしまいます。
※2 参考文献:藤森隆郎「これからの持続可能な林業技術研究」森林応用研究 29 (1), 3-12, 2020-02-29
DX林業のチャンス
今、日本の森林の多くで、拡大造林政策により形成された人工林がチャンスを迎えています。
”安価な輸入材に押され国産材が使われなくなった”、と価格だけが原因であるかのように、林業に関して言われたりすることもありますが、実は問題は異なるところにあります。
森林周辺の加工施設、国産材の流通経路(伐採した木を効率的に搬出する環境整備も含む。)、販売網など、近代文明「ビジネス」の成功事例に見習い整備すべき部分がたくさんあります。
課題は見えているのですから、そこに取り組むことでビジネスチャンスに繋げられます。
林業に関しても、周辺文明と中心文明の対立構造ではなく、双方の叡智を活かして、発展を成し遂げることができるか。皆伐を防ぎつつ、理想的林業に向かって歩みを揃えられるか、林業は、その転換期にあると思います。
目指すべき森の姿
目指すべき森林の姿をまとめておきます。
50年生の木々を皆伐せず、100年生、200年生にできる木を見極め残しつつ、自然の植生にあった木(広葉樹)を植えます。
下刈、間伐などの手間・コストを、省力化しながら、森を育てていきます。
多様性に満ちた森林を形成します。
広葉樹からの落葉による土壌形成も可能となります。
この機能により、二酸化炭素の固着化も進められます。
当協会でも文明多様性に根差した森林形成、DX林業の推進を目指します。
日本の取り組みを研究しつつ、よい事例を世界に向けてセミナー活動や本ページでの紹介等を通じて情報発信したり、各活動の連帯を図りたいと思います。
DX林業によって、SDGsの2030年までの達成に貢献したいと思います。